不動産所得で節税したいけど、事業的規模って何?
不動産所得で節税したいと思っている人も多いでしょう。
しかし、事業的規模の不動産所得と事業的規模でない不動産所得では、税務上の取り扱いや節税効果が大きく異なります。
そこで、この記事では、不動産所得の事業的規模について、わかりやすく解説します。
事業的規模に該当するかの判断方法も紹介するので、ぜひ参考にしてください。
不動産所得の事業的規模とは
不動産所得は、不動産を所有し、賃貸によって得られる所得です。
この不動産所得は、その規模や運営方法によって、以下の2つに区分されます。
- 事業的規模
- 業務的規模
事業的規模の定義
事業的規模の不動産所得とは、その規模が事業的であると認められる不動産所得です。
事業的規模の不動産所得には、以下の特典があります。
- 専従者給与や専従者控除を必要経費に算入できる
- 青色申告特別控除が65万円になる
- 建物の取壊し損を全額必要経費に算入できる
事業的規模の判定基準
事業的規模の不動産所得の判定は、以下の形式基準に基づいて行われます。
- 貸間、アパート等については、貸与することのできる独立した室数がおおむね10室以上であること。
- 独立家屋の貸付けについては、おおむね5棟以上であること。
- 月極駐車場の場合には、5台分を貸間やアパート1室とします。
なお、貸与できる独立した室数とは、以下のものを指します。
- 寝室
- 台所
- 浴室
- トイレ
- 玄関
- 洗面所
- リビング
例えば、アパートを10室以上所有している場合、または、5棟以上の独立家屋を貸付けている場合、事業的規模の不動産所得となります。
事業的規模と事業的規模でない場合の違い
事業的規模の不動産所得と、事業的規模でない不動産所得では、税務上の取り扱いや節税効果が異なります。
税務上の取り扱いの違い
事業的規模の不動産所得は、専従者給与や専従者控除、青色申告特別控除、建物の取壊し損の全額必要経費算入などの特典を受けることができます。
一方、事業的規模でない不動産所得は、これらの特典を受けることができません。
節税効果の違い
事業的規模の不動産所得は、以下の特典により、節税効果が大きくなります。
- 専従者給与や専従者控除により、家族を従業員として雇用した場合に、その給与を必要経費に算入できる。
- 青色申告特別控除により、所得金額から65万円を控除できる。
- 建物の取壊し損を全額必要経費に算入できる。
例えば、アパートを10室以上所有している場合、事業的規模の不動産所得であれば、専従者給与や青色申告特別控除により、数十万円から数百万円の節税効果が得られる可能性があります。
事業的規模の不動産所得かどうかは、その規模や運営方法によって判断されます。
形式基準を満たしているかどうかを判断し、事業的規模の不動産所得に該当する場合は、特典を受けることで節税を図ることができます。
事業的規模に該当するかの判断方法
事業的規模の不動産所得に該当するかの判断は、以下の形式基準に基づいて行われます。
貸与できる独立した室数の判断
貸与できる独立した室数とは、以下のものを指します。
- 寝室
- 台所
- 浴室
- トイレ
- 玄関
- 洗面所
- リビング
貸与できる独立した室数が、次のいずれかに該当する場合には、事業的規模の不動産所得に該当します。
貸間、アパート等については、貸与することのできる独立した室数がおおむね10室以上であること。
月極駐車場の場合には、5台分を貸間やアパート1室とします。
貸付けの棟数の判断
独立家屋の貸付けについては、おおむね5棟以上であることが事業的規模の不動産所得に該当する基準です。
貸付けの棟数が5棟以上ある場合、事業的規模の不動産所得に該当します。
また、貸与できる独立した室数と貸付けの棟数を組み合わせた判断も可能です。
例えば、貸与できる独立した室数が10室以上あり、貸付けの棟数が5棟未満の場合でも、事業的規模の不動産所得に該当する可能性があります。
事業的規模に該当するかの判断は、あくまでも形式基準によるものです。
実際の運営状況によっては、事業的規模の不動産所得に該当しない可能性があるため、注意が必要です。
まとめ
不動産所得の事業的規模とは、その規模が事業的であると認められる不動産所得です。
事業的規模の不動産所得には、専従者給与や専従者控除、青色申告特別控除、建物の取壊し損の全額必要経費算入などの特典があり、節税効果が大きくなります。
事業的規模に該当するかの判断は、貸与できる独立した室数と貸付けの棟数によって行われます。
形式基準を満たしているかどうかを判断し、事業的規模の不動産所得に該当する場合は、特典を受けることで節税を図ることができます。
以上、不動産所得の事業的規模について解説しました。
不動産所得の規模や運営方法に不安がある場合は、税理士などの専門家に相談することをおすすめします。
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