「賃貸している物件の所有者が倒産してしまった。もし競売にかけられたら、すぐに明け渡さなければいけないの?」
そんな不安を感じている方もいるのではないでしょうか。
実は、抵当権が設定されている不動産であっても、短期賃貸借契約であれば、抵当権の実行による競売においても、一定期間は明け渡しを猶予してもらえます。
この記事では、短期賃貸借保護制度の概要や期間、廃止後の賃借人の権利について、わかりやすく解説します。
短期賃貸借保護制度とは?
短期賃貸借保護制度とは、抵当権が設定された不動産において、抵当権設定登記後に設定された賃貸借であっても、その賃借権が短期賃借権であるならば、その賃借権は抵当権に対抗できるという制度です。
短期賃貸借保護制度の概要
短期賃貸借保護制度は、抵当権が実行されて競売された場合、賃借人が明け渡しを余儀なくされる可能性を回避するために設けられた制度です。
短期賃貸借保護制度の適用要件
短期賃貸借保護制度の適用要件は、以下のとおりです。
- 土地の短期賃貸借:期間が5年以内であること
- 建物の短期賃貸借:期間が3年以内であること
短期賃貸借保護制度の期間
短期賃貸借保護制度の期間は、土地と建物で異なります。
土地の短期賃貸借
土地の短期賃貸借の場合、抵当権の実行による競売が開始された日から、抵当権の消滅時まで、賃借権は抵当権に対抗することができます。
建物の短期賃貸借
建物の短期賃貸借の場合、抵当権の実行による競売が開始された日から、競落人の代金納付の日から6か月後まで、賃借権は抵当権に対抗することができます。
短期賃貸借保護制度の廃止
短期賃貸借保護制度は、平成16年3月31日をもって廃止されました。廃止の背景には、以下のようなものが挙げられます。
- 抵当権の債権者を保護するため
- 賃借人の権利を過度に保護する制度であるとの指摘
廃止の背景
抵当権は、不動産を担保とした貸付金の返済を保証する制度です。短期賃貸借保護制度は、抵当権の実行による競売において、賃借人の権利を過度に保護する制度であるとの指摘があり、廃止されることとなりました。
廃止後の賃借人の権利
短期賃貸借保護制度が廃止された後、抵当権の実行による競売において、賃借人は、抵当権の債権者に明け渡しを請求されることになります。
ただし、賃借人は、競落人の代金納付から6か月間は、競落人に対して家賃相当額の支払いを猶予してもらうことが可能です。
まとめ
短期賃貸借保護制度とは、抵当権が設定された不動産において、抵当権設定登記後に設定された賃貸借であっても、その賃借権が短期賃貸権であるならば、その賃借権は抵当権に対抗できるという制度です。
短期賃貸借保護制度の期間は、土地と建物で異なり、土地の場合は抵当権の消滅時まで、建物の場合は競落人の代金納付の日から6か月後までとなります。
短期賃貸借保護制度は、平成16年3月31日をもって廃止されており、廃止後は、賃借人は、競落人の代金納付から6か月間は、競落人に対して家賃相当額の支払いを猶予してもらうことが可能です。
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